2019.6.27更新終了しました。
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私だけの洗濯機に隠している過去

安いドラム式洗濯機を買って早数年。

休日の朝、洗濯物を放り込んだ洗濯機に気持ち多めの洗剤を入れて、ごっしゃごっしゃ回るドラム内を眺めるのが密かな楽しみです。

 

私は18歳で一人暮らしをはじめてから、かなり長い期間洗濯機を持っていませんでした。

 

じゃあ、その間の洗濯はどうしていたの?

 

洗濯板です。

…というのは嘘…と見せかけてあながちウソでもなく、実家から「洗濯板つきの桶」を持たされて出てきました。

 

学校からアパートに帰ると靴下や下着、ハンカチやタオルなどをその桶で洗って、絞って干す…

 

別に、洗うのはいいんです。

洗剤が残らないように何度もすすいで絞るのが、すごく大変。

 

バスタオルやシーツを洗うときなんて、狭いユニットバスの中で体のあちこちをぶつけながら、全身びしょ濡れの汗だくです。

 

たまにコインランドリーを使うと、すごく贅沢した気分になります。

一回200円か300円だったと思いますが、ああ私は怠け者だ…でも待っているだけでいいなんて、なんて楽なんだろう…

少しの罪悪感と後ろめたさを感じながら、番号をふられた洗濯機たちを眺めていました。

 

社会人になって自分のお金で生活できるようになったら、近くにコインランドリーがあるアパートに引っ越しました。

 

なぜ、洗濯機を買おうと思わなかったのか。

 

お金がなかった?

洗濯機を買うという発想がなかった?

 

どちらも正解ではあるのですが、なんとなく、私にはまだ洗濯機を持つ資格がないような気がしていたから…というのが当時の気持ちに近いです。

「まだ彼女を養えないから結婚できない」という言い分に少し似ていると思います。

 

週に2・3回、仕事が終わってからコインランドリーに行き、洗濯が終わるのを待つ日々。

 

たまに顔を合わせるサラリーマン風の男の人やおばちゃんがいて。

あいさつも交わさず、目も合わせず。

先に洗濯が終わった方からそっと立ち去って、また数日後に顔を合わせる。

どこの誰かも知らず、明るすぎる蛍光灯の下、ただ同じコインランドリーで洗濯しているだけ…

 

そういう洗濯ライフも悪くないと思っていたのですが、ひょんなことから引っ越すことになり、しかも引っ越し先の近くにはコインランドリーがなくて、ついに洗濯機を買う決意をしたのでした。

 

「年貢の納め時」です。

 

海外製の、展示品かなにかで6万円くらいだったドラム式洗濯機ですが、私のためだけに働いてくれます。

 

私の洗濯物しか洗ったことがない、私の洗濯機。

 

かつて私はたくさんの人と洗濯機を共有するコインランドリーを利用していた…なんて事実は、うちの純真な洗濯機には知られちゃいけないような気がしています。

 

コメント

  1. ルネ より:

    こんにちは。
    洗濯板付きの桶って、すごいですね……笑 親御さんの考えが何かあったんでしょうか? すごい……。
    ぼくははじめから洗濯機を使っているので、あさがおさんの感性から言うと一途な人間になりますね!笑

    • あさがお あさがお より:

      一途なルネさん、こんにちは。
      ルネさんとルネさん宅の洗濯機は純愛ですね。
      うちの洗濯機が羨ましがると思います。

      桶は「一回300円のコインランドリー代でも大事にしなさいよ」という意図があったのだと思います。
      ただ桶で洗濯する時間と手間を考えると、どう考えてもコインランドリーに行った方が安上りですよね…

  2. Gin より:

    ごっしゃごっしゃ

    様々な比喩、例えにはいつも微笑みますが、擬音も楽しい。

  3. tatiana-🐯 より:

    洗濯板!いつの時代の話って感じだね。多分私の子供の頃は洗濯板でゴシゴシ洗ってたね。

    初めての洗濯機は脱水機がないロール式で洗濯物を挟んでロラーで絞るタイプ、段々ローラーが

    摩耗して上手く絞れなかったりボタンが変に挟まってちぎれたりしましたね、懐かしいです。

    一人暮らしの時はマイ洗濯機は暫くなかったな、多分職場の洗濯機を借りてましたね。

    夜中にバイクで職場まで行って洗っていたのを覚えています。

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